今年の年の瀬、12月はどうやら週末に寒波がやって来るらしく。
月の初めに直前からの途轍もない落差となった寒さが襲来し、
どひゃあと驚かされたものの。
すぐにもコート要らずの穏やかさが戻ったものだから。
なぁんだと安堵した途端、
またまた ぶるるっと震え上がるような寒さが戻って来…と。
「スエーデンとかノルウェーとかのサウナが、
こういうノリなんだってな♪」
凄げぇ汗だくになった後に、
氷が張ってそうな冷たい泉へ飛び込むんだぞと、などと。
澄ましたお顔で言ってのけちゃあ、
何でそうそう、色んな要らんことばっか知ってるんだ、こいつと。
お友達のアメフト大学生たちから、
驚かれたり警戒されたりしておいでの子悪魔様、
妖一坊やが“へへん”と笑い、
「えー、そんなしたら しんぞーさんがビックリしないの?」
愛らしくも潤みの多い大きなお眸々を、
ますますのこと真ん丸にして、
「夏のぷうるだって、
いきなり飛び込んだらいけませんよって。
しんぞーさんがビックリしますよって、
マモリせんせー ゆってたのに。」
素朴な疑問をぶつけて来るのが、
子悪魔様とは風貌も気性も、ついでに中身も正反対。
そりゃあそりゃあ純真無垢で、
あどけないやら稚(いとけな)いやら、
その純粋度数が留まるところを知らなさ過ぎて、
危なっかしいこと おびただしい、
もとえ 甚(はなは)だしい、
こっちもこっちで重々“困ったさん”な、
小早川さんチのセナくんであり。
こうまで素直なお子様からの“どうして?”ともなると、
滅多な誤魔化しなんぞを言った日にゃあ、
あとあと罪悪感に苛(さいな)まれそうな気もするほどだが、
「そこはそれ、鍛え方が違うんだろうよ。」
「ほええ〜〜。」
ありきたりすぎるたった一言で、あっさり片付けてしまう、
子悪魔坊やも坊やなら。
どういう相性なのか、それともこれまでの実績か。
大人ばりの知識もつ存在だから…というだけじゃあなさそうな、
素直な納得をあっさり引き出されている、
セナくんもセナくんで。
“さすが同世代。”
“丸め込み方もよく御存知で。”
こらこら誰ですか、妙な感心してるのは。(笑)
つか、自分たちとは明らかに寸の異なる坊や二人の、
そぉんな愛らしい応酬を、
それぞれのトレーニングの傍らに、
聞くともなくお耳を傾けておいでなのは、
これでも関東大学リーグじゃあ結構な注目株の、
賊学大フリル・ド・リザードの皆様なのであり。
本年度後半の公式戦からは、残念ながら離脱しているものの、
体が鈍らぬようにと、
わざわざ大学のグラウンドに顔を揃えて、
ルーチンワークとしてのトレーニングに励んでおいで。
師走 十二月の寒空の下、
片やの小学生、金の髪した子悪魔様が、
幼い身でありながら、そんな彼らをびしば〜しと指揮しているのは判るとして。
「判るんかい。」
「まあ、まあ。」
一回生の誰かが ぼそりと呟き、隣の誰かが宥めたの、
彼もまた聞こえなかったことにした子悪魔様も
度量が深いったらなかったが。(おいおい・笑)
そんな子ヒル魔くんはともかく、
セナ坊やはこちら様のマスコットじゃあないのに、
何でまた此処に?と。
一回生キャプテンの葉柱さんとしては、
その点へと小首を傾げて見せれば、
「そいでねあのね、
進さん、お正月の“しやい”まで忙しいからね。」
どこからつながる“そいでね”なのやら。
今日は終業式だったらしい小学校から、
子ヒル魔くんと一緒にこちら様へとやって来たセナくん。
彼の“所属”はというと、
「王城まで逢いに行きたいんだな。よし、ルイ、バイクを出せ。」
「じゃあなくって。」
話が一足飛び過ぎんぞお前と、
三段飛びで話を進めておいでの妖一くんなのへ、
おいおいと制するように扇ぐ手振りをする葉柱さん。
王城大シルバーナイツのエース様、
進清十郎さんのお友達でもある小さな坊やだってこと、
やはり知ってはいる皆様なれどと、ルイさんが呆れた傍らで、
「う〜んとね。」
ついでにと、
大きなお手々で髪を撫でてくれている
葉柱のお兄ちゃんをあどけないお顔で見上げると、
「逢いたいのは山々だけれど、
ただ逢いに行くだけなのじゃなくてね。」
「お…?」
気のせいでしょうか、
そのキャラには少々似合わない
妙にしっかりしたお言いようをしたのは、
もしかせずとも子悪魔様からの影響なんでしょうが。
そのまま、小さなお背に担いでたデイバッグ、
よいちょと降ろしてセナくんが取り出したのは、
『ケーキを焼こうクリスマス』というムック本。
季節限定のタイトルと、
表紙にいるのが低学年層の少年少女である辺り、
小学生でも作れるよ、ママと作ろうという主旨のご本であるらしく。
「そうか、差し入れのケーキを焼いて持ってきたいんだな?」
「そおvv」
だって進さんたら、セナが教えてあげないと、
クイスマスとハロインの違いも知らないのよ?
…そういうお前も
相変わらずに舌の足らん発音しとるようだがな。
小さなお子様二人が、結構一丁前な会話を繰り広げており。
黒みが滲み出しそうな うるうるお眸々がキュートな、
ふんわりと愛くるしい小柄な坊やと、
深みのある金色の髪に、
利かん気そうな力みもまだまだ幼い甘さの方に比重の強い、
やはり可愛らしい子悪魔くんとが向かい合ってる図だけを見るなら。
単なるほのぼの、
微笑ましいばかりの構図だったかもしれないが、
よくよく訊いておれば…微妙に子供げないお言いようがちらほらと。
そしてそして、
「判った、俺も加勢してやんぞ。
何せ 絶賛“暇持て余し中”だからな。」
そこで胸を張る坊やだったのは、
周囲におわすお兄さんたちへの遠回しな当てこすりだったのかも知れず。
「悪ぁるかったな、高校時代からクリスマスを満喫させ続けでよ。」
高校生ナンバーワンが“クリスマスボウル”なら、
大学生ナンバーワンを決めるのが“甲子園ボウル”で。
年が明けたら
社会人のナンバーワンと競うのが“ライスボウル”というほどに、
強いチームであればあるほど、年末年始は大事な試合が目白押し。
そしてそして、
一敗するだけで そこからの離脱を余儀なくされるのが
トーナメント方式の高校生アメフトならば。
大学生のアメフトはリーグ戦。
これでも奮闘しはしたのだが、
それまでずっと一番下の3部所属だった賊学大を、
参入初年度であっさり入れ替え戦へまで持ってった、
今のチームじゃああるのだが。
いかんせん、今年はそれ以上のポジションには
上がれなかったお兄さんたちでもあり。
「しょうがねぇじゃんか。
まずは一部リーグへ上がるのが目標。」
不貞るな不貞るなと、
いかついアメフトボウラーなだけじゃあない、
ここいらじゃあ泣く子も黙る暴走族の総長さんを宥めてやってるのが、
小さな小学生だってところからして異常事態なのは、
こちら様におかれては今更なお話で。
今更な12月ではあれど、それでもあのね。
大切な人や大好きな人と一緒に過ごせれば、
それだけでも暖ったかい。
そしてそして、
同じお空の向こうにおいでの
お忙しいはずのラインバッカーさんもまた。
アイドルさんや たまきお姉さんの助けを借りて、
クリスマスより大事な日に向けて、
可愛らしいケーキを焼いていたりします、此処だけの話……。
HAPPY BIRTHDAY! TO SENA!!
〜Fine〜 11.12.22.
*リアルな甲子園ボウルでは、関西勢が優勝してましたね。
真っ赤と真っ青という、
何とも判りやすいユニフォームのぶつかり合いだったのが、
あまりに目に鮮やかすぎて、
柔道の白と青の道着みたいに、
そういう取り決めのある
装いだったのかと思ったほどでした。(こらこら)
*それはともかく、
クリスマスといえば、
海賊のお部屋ではトナカイさんのBDであり、
こちらのお部屋では
忘れちゃいけない主役のBDじゃあなかったかと、
今朝 気がついたうつけ者……。
セナくん、お誕生日おめでとう
めーるふぉーむvv
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